「杉の柩」エルキュール・ポアロ18、アガサ・クリスティ

杉の柩 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

杉の柩 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

 

例えばプライドの高い女がいたとして、とある女を憎くて殺してやりたい、と思わず考えてしまうことはそんなに珍しいことではないと思うんですよね、それと実際に手を下すことにはずいぶん差があるように思います。

そこまでは罪なんてないし、普通のことだと思う。

彼女は自分が抱いた殺意に対し怯えて、自分が有罪ではないのかとずっと、まるで責め苦のように背負っています。解説でも褒められてたけど、それはすごく女としてわかる、というか現代人にも容易に想像が付くんじゃないかなぁ。

(繊細な男の人にもわかるかもしれないけど、やっぱり女のほうがわかると思う。)

つーかぶっちゃけ、彼女が犯人かしらとはらはらするよねぇ、うん...orz

好意を抱くというか、うーん、やっぱり殺したくなってしまう気持ちがすごくわかるので、どっちかというと同情ですね。でも読者の垣間見る彼女はむしろ立派な態度なんではないのかと思うんですよ、男も悪くはないんだけどやっぱちょっと頼りないんだどうも。

 

とある婚約者のいる男が、ある娘に一目惚れし、その結果として婚約が解消され。 

その娘はその婚約を解消された彼女の作ったサンドイッチを食べた直後に死体として発見されることになりました、彼女の叔母の亡くなったという直後に消えた薬剤がその死因。

状況は限りなくこの元婚約者の彼女にとって怪しいものの、まあ、本を読み始めたらだいたい「怪しくはない」という似た結論に達すると思います、それは状況証拠とかじゃなくて性格的なものなんだよね。

娘の素性なんかもちょっと微妙なものがあったり、老婦人の遺産の問題もあったり。

基本お節介なポアロ氏がどう介入してくれるのか期待するといいと思います。