「都庁-もうひとつの政府」佐々木信夫

この本が1991年の発行で、ええと、前都知事の石原さんが都知事になったのが1999年か…なんか思ったより最近、てわけでもないんですよね、正直前都知事以前もばっちり記憶にあるのにちょっと印象が深すぎるw 多分この手の本も一旦出し直しを迫られたんだろうなという想像に難くないんですが、ただ、もともと都知事なんてのは(東京市長時代から含めて)強烈な存在であって、本の中でも語られていたように毎回違うタイプが出てくる、とも言われている、個人的にはそこまで酷い都知事はいなかったかなあ、というのが雑感ですかも、それぞれの時代ごとに欠点と長所がある。

常にどの時代にも問題は存在するものの、どっちかというと組織構造の部分はやっぱり都知事が変わるたびに焦点が変わるものの(学者頼りになって議会が無視されたり、どうも継続性のない計画が出てきがちだったり)、東京への一極集中に対して積極的だったり、そのことによって出てくる問題に鈍いってのは共通した姿勢かなぁ、という気はするものの。

それも正直、都庁の、というより日本とか日本人の傾向とも思えなくもない。

 

前半は制度の話や、議会や専門家との関係など意思決定のプロセスの変遷など、データを元に語る本であるために退屈な部分もあったんですが、3分の2くらいを過ぎて美濃部氏やら鈴木氏の方針などが語られるようになるとちょっと身近でわかる部分もあったかな。

東京はよく知られている通りに日本で、というよりは世界的にも軽く有力国家レベルに達するような独自方針を持つ巨大都市であって、むしろそれぞれの区を今以上の自治単位として扱うべきだ、ということが論じられているくらいなんですが(実行されてますね)。

なんだろ、それでもやっぱり都市計画が矮小化されているような気もします。

ある意味で地方の独立意志が当然にならないと東京すら自由にはならないのかな。