『東京人』2013年02月号「江戸の理系は世界水準」

東京人 2007年 03月号 [雑誌]

東京人 2007年 03月号 [雑誌]

 

 

個人的にこの特集で物足りなかったのはあくまでも江戸の技術力が明治の急速な近代化に対応した部分までで話が終わってしまって、現代の技術への系譜までが語られていなかった辺りかなぁ。雑誌だとボリューム的に難しいのでしょうが、かつて欧州の歴史研究にて「暗黒の中世」を否定した歴史研究を思い出してしまうんだよね、否定で終わり、というか。

江戸時代の識字率の高さとか、科学文明らしきものがあったことはいささかミーハーな形であってもそんなに受け入れにくいことでもないんだから(ちょうどここで出てた平賀源内などが筆頭でしょうが)、もうちょっとさくさく行っちゃえば良かったのにな。

かわら版配ったりとかなんとなくだけど時代劇の中で見てたりもするしw

日本では今でも当時の園芸技術を使って、特に遺伝子組み換えなどに頼らずに改良種を作っているのだとか、たまにですが見ることがあったのでその辺りまでも軽くでもいいから触れて欲しかったなぁ。せっかく歴史の本じゃなくて扱い広い地域の本なんだしね。

種子島に漂流した船から偶然に日本に入ったという銃の歴史は、その逸話そのものは確立してはいるものの、実際にはその前後の時代に別ルートからの流入も見られるのだとか。

(貿易船が乗せてるような時代だから、まあ多かれ少なかれ近海には存在してて、種子島の話はやっぱり一部地域の人にとっての出会いだと理解するべきなのかな。)

 

江戸の頃の数学は主に天文学者によって使われていて、望遠鏡などの道具も使いこなしていたのだとか、この辺はオランダ経由で入ってて不思議はないな。ソメイヨシノが改良種ってのも、あら、俗説の可能性もあるのか、これは一斉に散るので軍人に好まれたのだとか。

土木技術や建築技術の高さもなんとなくは知ってましたが、そういやまとめられたものは見たの初めてかも、もっと近世と近代の連続性は語られてもいいのかもね。