『東京電燈株式会社開業50年史』東京電灯株式会社

東京電燈というのは(タイトルを本に記述されていた旧字、著者名を図書館などに登録されている新字で表記してみました)、非常に大雑把に戦時統制である“日本発送電”を間に挟んでの今の東京電力の前身の前身。

(この社史の中にも東京電力って出てくるんですが、これはまた別で昭和2年に東京電燈に買収された会社です、分離に関わった人がこの旧東京電力の人だったので無関係じゃないかもって指摘も前に見たことありますがw)

 

そもそも日本で最初に創設された電力会社なので初期の電燈の普及や、電気が火事の発生原因かどうか、などの裁判、ガス燈との争いなど日本の電気の初期のエピソードはほとんどこの会社のものなのですが、その後、電力会社の乱立によっての「大電力時代」への突入。

私が読みたかったのは主にこの部分と、東京電燈の内部で起こっていた若尾璋八氏絡みのスキャンダルのことだったんですが、前者は外から見てもわかる範囲に留まり、後者に至っては創設されたトンネル子会社にすら触れていなくてちょっと不満だったんですが。

若尾璋八が退任し小林十三が社長に就任、という一文のみで済まされていたのを見て逆に、というか時期があまりにも近すぎて書けなかったんだなw と納得。

この社史が昭和11年(1936年)発刊で、創業1883年、開業が1886年。

買収関係会社の系統図でも丸々1ページ使っていたので、まあ全部書ききれないのも仕方ないって気もしないでもないしね。ただ5大電力に関してくらいはもうちょっと書いてても良かったかなぁ、というか買収先でもない日本電力だけなんで経歴書いてあったんだろう?

東京市電が発足する前後の東京市の電力テリトリーや、なぜか日本の経済事情や有価証券の話、経営合理化なんかがまとまった内容だったかな。