「日本近代史」坂野潤治

日本近代史 (ちくま新書)

日本近代史 (ちくま新書)

 

 

この一つ前にほぼ同じテーマの(まあこっちは幕末から扱ってるんですけども)『政友会と民政党』を読んで、いまだにどっちを先に読んでどっちをあとにしたら良かったかな、ということに迷っているんですが、大雑把にあれですね、どっちも入門書とはどう考えても程遠いのは間違いがなく、分厚くて時代が長い分だけ『日本近代史』のほうが難物だったかなー、でもこっちのほうが幕末の事情から戦争ぎりぎりまでだから、とか、いろいろ考えますがとりあえず初心者は止めておいたほうが無難です。

(9.9割の人名わかる、租税の話全部わかる、政党関係の本読了直後、15年くらい前から断片的ではあるものの近代史の本読んでる、歴史の展開全部覚えてる、政治史の本は内外問わずによく読んでる、産業メインで経済の話はほぼわかるのに挫折したからな!)

流れとして一番面白かったのが「政府軍」が存在しなかった理由(金がない)から語り始め、土地からの直接税の値上げが構造上望めず、要するにインフレだと事実上の減税、デフレだと事実上の増税、という説明の直後に語られた“松方デフレ”、よくわかったよくわかった!

この展開を覚えているとあとのほうで出てくる“金本位制復帰”への反発もよく意味がわかりますね、そうだね、軍拡張主義者じゃなくてもこの時期は避けて欲しいね勘違いしてましたごめんね本当に!! 世界恐慌の時は避けてよマジでって意見として当然だわ。

 

というかそういうわりと実務レベルのことは明快でわかりやすいんですが、その分なのか理念や平和主義や民主主義者に対してどうも冷たいっていうか、まあうん、どちらかというとその最後の抵抗こそが戦争の一押しになってるって構図は理解…なんかおかしいね?

日清日露や115事件と226事件の説明など、周辺事情と段階の切り口見たことなかったんですが、どっちかというともうちょっと踏み込んだの読みたいかも、面白かったです。