「死者のあやまち」エルキュール・ポアロ27、アガサ・クリスティ

死者のあやまち (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

死者のあやまち (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

 

怒涛の推理作家・オリヴァ夫人(なにが怒涛って全てが、でも悪い人じゃない)に極めて唐突に呼び出され、事情も聞かずに駆けつけてみたらにっこり笑って「好奇心でいらしてくれたのよね」というのはいっそあまりにも本質を突きすぎているわけですが。

そこでポアロさんが相談されたのは彼女が計画に参加してシナリオを書いたゲーム。

“殺人犯当て”がどうも誰かに操られているような気がするのだ、というようなちょっと曖昧模糊とした話であって、さすがに夫人当人も、そしてポアロさんもその被害者役になっている14歳の女の子が実際に殺されるとは思ってもいませんでしたと。

 

この被害者の少女は他人を覗き見たり、おじいちゃんの愚痴やら妄想とも付かないようなことを喋り散らす、まあ魅力には乏しいかもしれないけど罪のない子だ。

私もどうも彼女が殺されたということにピンとこず、なんかの間違い? それとも別の計画の執行の都合?? としか考えられなかったんですが、なんかどうも作中の人たちもそんな感じだったみたいなんですよね。

その当日、ふらふらと彷徨っていた、ファッションと奇麗なもの以外何一つ頭の中に入って来ないようなぼんやりした若奥様も消えてしまい。

あまりに静かな消え方だったので誰も信じられなかったんですが、一ヶ月経っても帰ってこない、男と逃げたにしろ、祭の当日のど派手なドレスを着たまま、というのがいまいち信じられず、「どんな事件であるのか」というのが殺人が起こったあともわからない。

 

そしてポアロさんが暴いた真実は、…結構驚愕なような気はしますが。

正直それがなんだったのか、最後までわからないままだった、というのが印象です。