『小田急25年史』小田急沿革史編纂委員会/小田急電鉄・編

旧かな旧字体の本で1952年の刊行、えーと、小田急が東急に属していたのが戦後3年までなので解体分離から4年目ってことになるのかな? 戦前に小田原急行鉄道と合併した鬼怒川水力電気も一緒に扱ってたんですね(昭和16年に“日本発送電”に電力関係事業の設備を全て提出したので本業そのものが消滅してしまい、それで兄弟会社だった小田原急行鉄道を合併し、名前を小田急電鉄に変更)(この辺は戦時統制ですね、要は)。

あと、巻末の年表には同じく兄弟会社である帝都電鉄が載ってましたが、独立した章はなかったのでちょっと残念、ここにないと単独の記録はないのかなぁ。

 

大雑把に言うとまず電力会社として鬼怒川水電が後発企業として出発し、その安定的な供給先として小田原急行が設立された、ということのようなんですが、両者に関わった利光鶴松氏自身はいろんな会社に関わってるよね、東京市電の前身の一つである東京市街鉄道などとの関わりがちょっと有名でしょうか(ただここいろいろ混ざっちゃったけど)、一時東京市電と鬼怒川水電が供給契約結んでたのもその関係でしょうかね。

あと、王子電車(概ね今の都電荒川線)にも供給してたらしいね、京成なんかも家庭配電してたらしいんですが、これも一時名前があるね。ただ最終的にはどうも余剰分を東京電燈に買い取って貰う契約になっているし、配当見る限り、経営は不安定だったのかも。

ただ、電力会社はかなり群雄割拠で合併吸収の繰り返しだったので単独で残っただけでもそれほど業界としては悪い成績ではなかったと言えるかもね。

後半の沿線史はちょっと時代順などが未整理で、観光案内としても時間経ちすぎているせいかいまいち系統立って読めなかったかもしれないです。まあ、もともと文章の専門家でもないし関係者集めての座談会議みたいな状態で書かれたとすると悪くもないですかも。