「第三の女」エルキュール・ポアロ30、アガサ・クリスティ

第三の女 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

第三の女 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

 

ある日、ポアロさんとこに頭が足りないと言われてしまうような(オリヴァ夫人は言いたい放題言ってもさっぱりしてますな)少女がやってきましてね。自分が人を殺したかもしれない、ということと、ポアロさんがこんなにお年寄りだって知らなかったので、と一方的に言いおいて帰ってしまいましたとさ。

そう思っててもその場で帰ることねぇだろうというか、もうちょっと別の言い訳くらいしたらどうだ、というのが正直なところですが。おかげで、フツーに相談に来てたら礼儀正しく内心で一笑にされていただろうに俄然張り切ってしまいまして。

オリヴァ夫人に愚痴ってみたら、あたしが教えた相手かも、と言い出しました。

 

彼女の周囲というのはそれなりにキナ臭いものはありますものの。

とりあえず、これといった死人が出ているというわけでもなく、彼女の継母がどうの、周辺で起こった男の子同士の小競り合いがどうの、とちまちましたことはあるものの死人がいない。いくら薄ぼんやりしてるからって起こってもいない死の責任を自分の「ものかもしれない」と感じることなどあるのだろうか、とポアロさんは訝しがります。

そもそも彼女の父親は長年外国にいて、最近帰ってきたばかりなのだそうで。

(ろくでもない女と駆け落ちしましたが、まともな奥さん連れ帰ってきたよと。)

そして彼女はなんでだか、その継母を非常に憎んでいるのだそうですよ、しかし彼女は毒を盛られているかもしれない、という疑いはあるものの死んだわけでもない。

 

まあ、トリックは結構意外だったもののクリスティ定番と言えなくもなく。

アンタいい人だったのかー!? というのが案外一番の驚きポイントです、なんと。