「昭和の東京1 新宿区」加藤嶺夫写真全集、川本三郎/泉麻人

新宿区というとまあまず誰でも思い浮かべるのが新宿駅ではないかと思うのですが、えーと、大雑把に西南のだいたい3分の1くらいが渋谷区ですね実はあれ。ちょっと区切りが鉄道とは違うというか、まあ道だったり元水路だったりするのですが、なので都庁の辺りが入ってないわりに、その再開発に巻き込まれた西新宿なんて地域は入っていたり、とかちょっと微妙な区分(新宿駅って区切りでも結構写真集ありますけどねー、まあ)。

淀橋浄水場が西新宿にあった頃には十二社の池(たまに言われてるけど変わった名前だよね)だの、おもいで横丁という戦後の闇市の名残りだの(今も復刻版が残ってますが平成までマジに残ってたよ)、家と家の隙間にあった蓮畑なんかは多分現存してるんじゃないでしょうか、いや普通に民家っぽかったしあれ。

あと商店街も、非常にごく普通の見た目でした、最近珍しいらしいけど!

 

高田馬場、大久保もじわじわとそれぞれの特徴というものを持ち始めているし、東は飯田橋や神楽坂辺りまでが新宿区のようなのですが、なんかもう、一つの文化圏って認識は全然ないなぁ、というのが正直なところ。

ただ逆に、どことつながってなくても一人立ちしていけそうでもあるんだけど。

この写真集の中では、本当にただの路地です、昭和40年くらいが一番多くて平成9年くらいまでありますが、ほとんど同じようなコンセプト、普通の路地。

たまに首都高とか再開発とか、もともと都電の本などでもよく写真を見掛ける方なのですが都電の足元の割れたアスファルトがわかるように写してる人なんだよね。

トタン屋根に共同水道に新宿駅地下道、ネオン街の酔客、今となると失われてはいるんですが、ああ、よく撮ったよなぁ、という解説の人たちの意見がやっぱり妥当だよなぁ。