「横浜の近代-都市の形成と展開」横浜近代史研究会/横浜開港資料館・編

そもそもなんで横浜を関東(実際には東日本での、だよね、比肩する港はだいたい西寄り)での玄関口にしたかというと、当時の横浜が寒村の漁港でしかなかったから、というのが身も蓋もない事情のようなのですが、あと、どうも東京と境界が曖昧だったり(多摩地域は神奈川から東京へと移管された土地ですね)、東京の2大水源である多摩川がかなりの部分神奈川を通り、けれどその水資源としての恩恵には預かれないなどの理由で関係が捻じ曲がっている節があるというか、でも横浜は新しい都市で対抗する力なんかないんだよな…。

川崎なんかはそうでもなかったんじゃないかと思いますが、こちらは工業化だし、なまじ首都からの恩恵がある分だけややこしいことになってるような気がするなぁ。

東京港を開く話が出た時には睨み利かせたりとか、上の多摩川の改築費用の負担を神奈川県側が負うのはおかしいと反論していたりとか、まあまあ、いろんな展開してますが、東京への呼応にしても反発にしても戦前は特にあまり独自の展開を見せていない。

戦後になると横浜に都市デザインのほうで有名な方が出てくるんですが、うーん、そっからかなぁ、残念ながらその少し前までの時代までしかこの本では触れられてなかったんですが、反面、非常にはっきりしていたのが倉庫業やら南武線南武鉄道のち国有化)と浅野セメントとの微妙な関係とか、どうも細かい点についてですかね。

 

あと、正直一番最後の敵対財産についての扱いという論文はなぜ載っていたのかがよくわからなかったんですが、まあ、横浜に多くの外資系企業があった、と言われればそんな気はします、もうちょっと解説なり注釈なり付け加えてくれるとありがたかったかもです。

あ、面白かったのが養蚕業との関係かな、時期が極端に偏る特異な業態だったので横浜正金銀行がほとんど専業的に融資を行っていたようです、て、この銀行何者なのかしら?