「日本陸軍がよくわかる事典-その組織、機能から兵器、生活まで」太平洋戦争研究会

日本陸軍がよくわかる事典―その組織、機能から兵器、生活まで (PHP文庫)

日本陸軍がよくわかる事典―その組織、機能から兵器、生活まで (PHP文庫)

 

 

少し前に読んでいた軍務局の本から内部のエピソードを省いて全体的にコンパクトにしたような印象の本で、個人的にPHP文庫ってあんまり参考にしたことはなかったんですが、これは読みやすさと合わせてだいぶ好著じゃないのかなぁ、わかりやすい。

事典とあるんですが、まあ短文を連ねた形式、思ったよりも連続性はありました。

人物に関しては最低限ではあったものの、組織に関して、それこそ初期の徴兵制やら赤紙に関してなどの説明、組織そのものや兵役に関してはわりと詳しかったように思います。

まあ、兵器なんかは私はもともと最低限しか知らない人間なのでこれで十分だったのですが、この方向が好きな人なら別の本を手に取るだろうしいいんじゃないかな。97式戦闘機がまず主流を占め、ほぼ同スタイルの隼がほとんど戦後に至るまで主流だったというのは、これは結構いろんな要因が絡まってるようなんですけどね。

(正直、銃弾が命中しても撃ち抜くだけで相手にダメージが与えられないとか、かなり重症だよなぁ、軽量で速度の速い戦闘機そのものが世界の非主流になってるんだよね。)

大洋上の飛行訓練をせずにアメリカと戦おうとしたのはどういうことだよ、そりゃ大陸中国が重点だし海軍がいるけど、という指摘は、正直もう笑うしかなかったですね…。

海軍がしたい戦争じゃなかったはずなんだけどな、とは思います、やっぱり。

 

あと特に面白かったのが各県に必ず一つは常駐されていた、という歩兵連隊に関してでしょうか、地元から集って任地も近い場所だと、やっぱり士気や熱意が違うんだろうなぁ、と感じたのと、陸軍の教育がそれほど複雑ではなかったこと、海軍と陸軍の兵力の考え方の違い(人数が全ての陸軍、軍備が先に来る海軍)、教育が必要な専門の武器を扱う兵は広い地域から募集されたことなど、考え方の基礎としては悪くない内容で読みやすかったです。