「日本証券市場成立史-明治期の鉄道と株式会社金融」野田正穂

そもそも日本の近代というのはほとんどの産業が欧米、というより当時はほとんど欧州ですね、欧州からの外部輸入であって、結果的に政府主導のもとで発展した、と言えるのですが、その中で例外的だったのが鉄道ってのはたまに聞きますね。
要するに、建設資金があまりにも掛かり過ぎて政府の手には余ったんだってw
日本の初期の証券市場は、産業を発展させるために作られたものの(それ以前から米市場などの先物取引は若干存在していたようですが、今と違って基本的には予想の付く範囲に収まってた現物取引だったみたい)、やっぱり鉄道以外にはそこまで資金調達の必要性がなく、初期は国債から始まりまして鉄道株が市場の半ばを占めていた時期があって、明治の終わり頃の「私鉄国有化」で一旦その流れが終了、その後、取引市場自身が謎の大増資を行っていたんだけど、これ多分市場の求めに従ったんだろうね、という辺りまでの時代が扱われていました、個人的には大正くらいの私鉄だと話がわかるのでちょっと残念でしたが、証券市場の歴史を語る上ではこれで妥当という気もしますね。
鉄道株が隆盛を誇る頃には若干の紡績や、郵船などの株も姿を見せています。
電気なんかは多分もうちょっとあとの時代になると出てくるんじゃないのかな?

 

証券市場はもちろん基本的には政府は企業の資金調達をさせたいのですから、「売買の取引」よりも株式の所有によって会社本体から利益を上げて欲しいと望んでいるのですが、市場は常に半ばギャンブルである投機に熱中し、財界人などが投資を専門にする仲買人などの優遇はしたものの証券市場そのものを活発化させるためにある程度はわりきっていたようです、鉄道株の場合、暴落しても所有していれば多少なりと利益はあったらしい。
本筋ではないですが、ルール作るたんびに斬新な手口で破る追いかけっこが酷いなww