「新編 甲州財閥物語」斎藤芳弘

一度昭和50年に出版された本だとのことなので、正直内容については仕方ないこともあるのだとは思うものの、ううん、これ、調べられなかったのかな。それともわざと組織名をわかりやすく改変してるのかな、でも合併前の名前だよね、省略したのかと思ったら合併相手の社名は出てくるし、一緒に資料に出てくるはずなんだけど…。
とか、この時代に東京の市バスは開業してないよな、それなのにこの延々と続く市バスの来歴みたいな語りは、一体なんだろう、みたいな。なんというか、間違えそのものはそこまで珍しいものでもないんですが、親切なことに間を細かく説明してくれるので、どっからその説明補ったの? みたいなことが、正直しばしばありました。

 

とはいえまあ、甲州の商人の中から若尾逸平と雨宮敬次郎がまず世に出て、それぞれが同郷人を引き立てていきそれぞれの系列を成し、甲州財閥と呼ばれるようになったもののそれぞれ初代を失って雨宮系は静かに脱落、若尾は最後まで暴れま凋落。若尾に引き立てられたものの、気質としては雨宮に近い根津嘉一郎甲州財閥の中心人物に。
ボロ会社買っては一人前にして開放、駄目な会社ほど執着するっていう、不思議な気質の人だったので(山師だけどいい人ですよ)(むしろ山師なとこがいい)、特に徒党を組んで他所の買収に走るなんてことはなくなったようです。
東京電灯という今の東京電力の前身的存在の会社や、今の東京都交通局の基盤になったともいえる東京鉄道(3社合併)、あと今の中央線の主要部分である甲武鉄道などが彼らの作ったもので、「甲州財閥」というのも山梨出身企業者たちの緩やかな流れを外側から呼んだもので特に資本関係もなく、そもそも若尾と雨宮が対立してたわけだしね。
巨大財閥にもならずそれなりの足跡を残したとは言えるんでしょうかw