「軍事遺産を歩く」竹内正浩

“軍事遺跡”という呼び方のほうが一般的であるそうなのですが、特に軍事行為に関係のない軍関係施設(病院や浄水場、船渠は個人的には含まれてもいいと思うけどね)までが含まれてしまうことになるので、この本の趣旨には合わないかな、ということで遺産としたようなのですが、特にそこにプラスの意味はないよ、とのことです。
そういえばこの著者さん自身はどういうスタンスで軍事関係施設を回っていたのかなぁ、というのが特別に語られてはいなかったような気はします。なんていうのかな、広島の大久野島と愛媛の小島(よく考えたら県が違っても近くなのか、一回まとめて語られていたのでちょっと不思議だったんですがw)などで特に顕著だったんですが、現地の住人がかつての軍事施設を受け入れて、ただし平和利用しているという構図が好きで、それを意味を忘れてしまった現代人がやるのはちょっとね、というスタンスだった気がします。
なんだろうね、ミリタリ趣味の人とはちょっと一線あるんだけど、物が残されていないことは非常に惜しんでいるんだよね。でも、軍事行為が好きなようにも見えない。
特に多かったのが地下などに展開している防空壕などの施設や、戦時接収された飛行場関係の土地に残った遺構などでしょうか、丈夫すぎて民間では壊せなかったり、土地は返されたものの上物が政府のものであったという事情や、住むところをなくしてしまった人たちの仮住まいとして使われ、その後も壊す気になれなかったなどのいろいろな事情がありましたが、共通していたのがそこまで悪い記憶ではなさそうだったということかなぁ。

 

反面、都内のコンクリート造りの司令部などの建物は、一時期に急激に壊されているような気がする、というのがこの本そのものの執筆動機だったようです。
そういや飛行機を上空から隠すコンクリートの半円のってあれ、掩体壕っていうのか。