『東京急行電鉄50年史』東京急行電鉄株式会社

1973年の刊行で、ちょうどこの年に第1次オイル・ショックがあった時代なのですが(高度経済成長期の終わり、この後に急激な建築費の高騰)、なんだろう、過大評価のきらいがあるにしろ単なる勘違いだけでもなく日本有数の企業ではないかと思うのですが東京急行電鉄、結構早い段階から不動産を通じて地方への進出を行っていて、その地の弱体化した交通インフラの立て直しによく関わってる辺り、正直イメージよりも堅実な部分もあったんだなぁ、というのが今の素直な印象でしょうか。
ほとんど9割がたは建て直しに成功するものの、またその後の不調を、というところが多いとはいえ、そこまで明確な企業利益があるわけでもなさそうなのにずっと引き受け続けているところは偉いよなぁと。まあただ、時々支援を申し出て了承が得られなくて強引な買収、みたいな顛末にもなってましたが…そこはイメージ通りですね、うんまあ。
(立て直しを引き受ける理由が不動産事業のためであっても、それはそれで全く問題ないというか、旺盛な事業欲を褒められていいと思っています。)

 

冒頭とラスト付近で理念のような部分が語られていたんですが、あくまでもこの電鉄の鉄道線は「田園都市」のために存在し、東横線ですら彼らの足として位置付けられている、と聞き、荏原郡というかつての行政地域と、そこに走る私鉄らが(京浜京王、玉電)(そして目蒲電鉄の時代にはありませんでしたが地域的には小田急も該当地域)挙げられていて、え、かつての「大東急」ってまさか、と思わされましたが、そこは明言されていませんw
関連企業が異様に多く、その一つ一つをきちんと来歴展開その後まで語る、というところやたびたび出てくる理念や独特の拘りに正直閉口したところはありましたが、やっぱり、ここはここで強い意志を持つ企業だよなぁ、ということもしみじみ。