「昭和の鉄道-近代鉄道の基盤づくり」交通新聞社新書027、須田寛

昭和の鉄道―近代鉄道の基盤づくり (交通新聞社新書)

昭和の鉄道―近代鉄道の基盤づくり (交通新聞社新書)

 

 

どうも面白くないなぁ、と思っていたのですが、よく考えてみたら大正末期(関東大震災の前に区切りがあったのでは、と言っていた人がいましたね)の頃の初めての官営鉄道のサービス精神の話から初め。

戦時中はとてもそれどころではなくなり、戦後に米軍の接収解除から少しずつ進んでいって、新幹線で一つの大成を見て絶頂期を迎え、けれどその後、徐々に転落していくという時代を鉄道の技術でもなく、スピードでもなく、経営でもなく多角的に述べていた、というのは珍しい内容だった気もします。
んで、貨物のほうの激減からまず破綻していくんですよね、その辺のところは触れられている本が多いせいか、さらっと流されてましたが。
貨物輸送の鉄道シェアの低下はなぁ、正直やっぱりトラック輸送の台頭という外部要因だと思うので、どうなるものでもないような気もするんですけどね。
度重なる値上げもですが、国鉄末期の頃にはストライキが横行して旅客のほうの国鉄離れを起こしていたよね、というのも略されていたかなぁ、まあ、それもやっぱり結構見る内容なので、各々で脳内で補完して読めばいいということでしょうか。

 

ちょっと気になったのが私鉄に関してがおざなりというか、いっそこれなら国鉄に話を絞って国鉄と対抗する私鉄のみを例に挙げるほうがすっきりしてたんじゃなかったのかなぁ、どういうわけか路面電車のほうが気になる方みたいですね、ちょっと珍しいw
網羅的とは言いがたいですし、技術などに関してはほぼ触れていなかったのですが、どのような時期にどのようなサービス、1等2等などがどのように扱いが変化し、特急や食堂車、東海道新幹線が旅客の一部を新幹線に移し、その輸送の空きを使っての機能強化というのは面白い内容でした、鉄道マニアよりも交通マニア向けかなぁ。