「ポケットにライ麦を」クリスティー文庫40/ミス・マープル6、アガサ・クリスティ

ポケットにライ麦を (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

ポケットにライ麦を (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

 

くろつぐみがどうの、ライ麦がどうの、ということがマザーグースの歌詞と共に出てくるのですが、すごく正直、かなり杜撰な感じに展開していて「犯人にとってそんなに重要じゃないんじゃないかなぁ」となんとなく漠然と思うんですが、実際展開もそんな感じ。

複数隠蔽工作がされていて、そのせいでこれもその一つでしかないんだよね。)

 

とある嫌な成金氏が殺され、続いてそのやたらと若い妻が殺され、そして小間使いの女が絞め殺されて見付かって、という事件。
兄は真面目そうな見た目に反して狡猾であり、弟は…えーと、放蕩な美男?
そして美しくて頭が空っぽな若い妻(殺されたけど)、兄の妻は大人しく、弟の妻はいい人です、本当にいい人なんか不幸だけど可愛いし!
ある意味で小説という意味だと彼らのそれぞれの奥さんも話の筋を混乱させるための道具立てだったんだな、というのがあとから判明してしまうんですが。
話に感情移入出来なかったかというと、真犯人が判明してからほんの数ページの間に判明する、殺人に当たって行われていた他のこと、の部分で十分なんじゃないかな。
マープルさんの強い怒りはそのことをなんとなく知っていたからって気もするんだよね。
美男の弟は殺された父親と反目していたものの、最近なにか兄がやらかしたということで呼び戻すという話が進展していたらしく、その前日というか、帰ってくる寸前に父親が殺されてしまい、せっかくの話がご破算になってしまい。
続いて殺されたのが父親の若い妻、で、一応その財産を受け継ぐはずだった愛人。
なんとなく全員怪しいんですが、でも殺すほどのことも?? と思っていたまでは完全に軽く騙されていたわけですが、ただ、やっぱり最後のエピソード辛かったな。可哀想に。