「東海道線130年の歩み」吉川文夫

そういえばあんまり大したことでもないんですが、車両前面に大きな窓が特徴的な“湘南電車”ってそもそもなんでそう呼ばれているのかちょっと不思議だったんですが(まあその地域から導入されたんだよ、ということはさておいて)、要するに関東大震災よりも前に計画されていた東海道線の電化第2区だったんですね。
今の京浜東北線もかつては“京浜線”という呼称だったらしいんですが(現在は東北線にも乗り入れているので名前と区間が長くなったわけですが)、東海道線の電化第1弾だったので、そう考えるとそこまでややこしい事情でもないよねこれ。
震災の時に都心の電化設備がだいぶ破壊されてしまったのでそれ以降、電化に慎重になったんだってさ。もともと幹線のほうで計画されていたものが、少し重要度が下がる路線などで電化、ということになったのもその一環って認識していいのかなぁ。
その後、戦争になると電気施設を壊されると一気に運休してしまう電化には軍部の意向で反対され(実際その意見に関しては正しかったんですが)、戦後は石炭の不足によって水力発電がまだ多かった電化が一気に進んだよ、という話がわりとまとめて読めます。
これ正直、東海道線を通した鉄道の歴史だよね? と考えながら読んでいたんですが、蒸気機関車の発展や周囲の電化の状況、各種特急や広軌計画とさりげなく絡めた新幹線までへの流れなどもそうですが、これ純粋に著者さんの説明能力が高いんだと思うなぁ。

 

まあざっくり、急勾配以外の鉄道の歴史の本です、最初の鉄道路線ですしもともとこの東海道本線の負担を軽減しようとするところから新幹線の歴史も始まって特急の歴史を全て収束した存在になったし、結果的に電化が遅れたので蒸気機関との付き合いも長く。
ここが電化されて以降全国に広まってったわけだよ、路線が鉄道の歴史そのものなのね。