「戦争遺産探訪 日本編」竹内正浩

戦争遺産探訪 日本編 (文春新書)

戦争遺産探訪 日本編 (文春新書)

 

 

一応空襲のあった地域と縁続きの土地に住んでいるので「掩体壕」(コンクリート製の地面に被せた半分の「おわん」のような形でこの中に航空機を隠す目的)の存在くらいは知っているものの、要塞と言われてもその展開した地域や、武器の射程や国際関係によって形が変わってしまうんだよね、ということからろくに知ららないんですよね。
北海道にはトーチカと呼ばれる上陸対潜用の建物まであったんだな、ということもわりと最近知ったんですが。まあでも、あれは目立つし現地の人は知っていたんだろうなぁ。
(それがロシア側には全く向いていなかったのはこの本で始めて知りましたw)
最近都心の露骨な戦争遺構は次々と消えて来ていると聞くものの、そもそもが戦時中に軍事施設に転用されたものや、それこそ戦後接収されたホテルなどまでを戦争の爪あとだと捉えると、逆にそう簡単に消えるものでもないのだろうなぁ。
ただ、ある意味で見てわかるものが次々と消えているのも、仕方ないことながら残念なことでもあるんでしょうね。この本の著者さんは戦時中の用語に対してはミーハーな感心を示し、戦艦や戦闘機などの名前を明記し、作戦や軍隊、人名などをきっちり書いているものの、ただその中に「無意味なものもあった」という視点は忘れないというスタンス。
まあ、ミリタリ好きってわりと、詳しく知るからこそ庇い切れないこともあるよなぁ。

それでもなんていうのかな、千葉の鉄道連隊の話を別のところで読んでいた時にそこが周囲との関係をきちんと築いた評判の良いところだったということ聞いたんですが、残ってるものって結局悪い印象がないところが多い気もするんだよね。
そういうところを巡ると少しは悪くないエピソードが多くもなるんでしょうか。
正直歴史としては断片の内容ですが、まあ、残った物が断片なんだから仕方ないよな。