「復興建築の東京地図」別冊太陽 太陽の地図帖010、松葉一清

復興建築の東京地図 (別冊太陽 太陽の地図帖 10)

復興建築の東京地図 (別冊太陽 太陽の地図帖 10)

 

 

現在も復興公園としての姿を残している元町公園というのは、都市計画の講義などで何度か名前を聞いたことも映像を目にしたこともあったのですが、この本を読むまで横浜にあるものだと勘違いしていた、恥ずかしいww(地名もなんだけど多分最初に見た時に横浜の復興と一緒に語られていたのが敗因だろうなぁ、都内で唯一の現存とのことなので、公園以外の復興建築が横浜にしか残っていなかったためそういう構成になってたんだろうね)
個人的に興味があるのが当時の復興の段階的な部分、実際の建設建築に偏っているものの、この本はこの本で復興計画図(本の中でも語られていたんだけれども、東京府知事であった後藤新平の都市計画図の流用だそうで)から始まって、それがどの程度の達成率だったのか、などと全体像を述べているので、今後この時代のことを読み進めるのにはいい指針になりそうでちょっと良かった気も。
少し前に商店建築の話で「看板建築」というものを知って、それが前面のみを飾り立て、背後に普通の昔ながらの商店を位置させる、という構造を聞いていたので、この時代に模倣だけではない本当の西洋建築が、と言われてちょっとピンとは来なかったのですが。
よく考えたら銀行などが「本物」を建てたからこそ個人商店がその表面だけでもその模倣した、と考えると、わりとすんなりと納得出来るような気もするかな。

同潤会アパートや復興小学校、橋や、火事対策には有効だったものの地震には耐えられず崩壊してしまった銀座煉瓦街の建て直し(まあ煉瓦も作り方強固だと耐えるんだけどね)などはよく見るものの、劇場や震災記念館、郊外の昭和初期の遊興施設などまで一連の流れとして扱っているものは見たことがなくてなかなか新鮮でした。
惜しかったのが街路計画かなぁ、もうちょっと広い範囲で具体的に聞きたかったなぁ。