「興亡-電力をめぐる政治と経済」大谷健

興味があるのがどちらかというと明治から昭和の初期くらいに掛けて民間で大概戦国時代になって効率もへったくれもなかった、とよく聞く電力業界に関してで(風呂場と居間の電力会社が違うとか昼と夜とで事業者が違うなどの混乱と言われてたあれです、それはたまに聞くw)。まあ戦中からの統制に関しての段階や戦後の分割なども興味がないわけでもないんですけどね、それこそここで述べられていたような各社の社史辺りに当たったほうが早いのかもしれないんですけどね。
松永安左エ門が電力業界の戦国状態に対して誰かが強制的に統合しないと駄目だ、と言ってたのは実は私鉄関係でも同じ言い回しを聞いたことがあったんですが、実際問題としてその部分は「国がやる」以外の道はなかったとは思うんですよね。認めなかったろうけど。
ただ、実際のところ松永氏は大反対してたったのはそれもわかるんですよ、いくらなんでも軍部主導で元の企業からただ当然で取り上げるなんてのはそれはそれで全く違うと思うんだ、正直それでまともな企業運用出来てたら奇跡としか言い様がないよなぁ。
(そういう意味だと完全に消滅しない範囲の腐敗で済んでた日本発送電は、まあ、褒めてもいいとは思いますけど、結局それも5大電力会社の残滓っていうか、その部分は会社ごと捻じ込んだ私企業の部分の良心とか経営手腕だったと思います、本気で。)

で、そんなぐたぐたに作られた超巨大電力会社は経営がぐたぐたになり、なぜ全力を挙げて協力しないといくら軍部が怒り散らしても他人の資産分捕った強盗会社だよそれみたいなことになってしまい。戦後に解体される時もいろいろ揉めました、みたいな感じの歴史です。
電産と呼ばれた日本史上例のない強力な労働組合ってのはちょっと面白かったですが、これの分析はまた別の人の担当になるんでしょうか。しかし疲れたこの本。