『美の巨人たち』辰野金吾「奈良ホテル」

関西の迎賓館とも呼ばれたのがこの奈良ホテルで建築家は辰野金吾
あ、これ、鉄道院の依頼で日露戦争の後なのか、賠償金は取れなかったんですが、ちょっとした事情で外債が回ってきてたらしいので、ひょっとしてわりと使用目的は限定されたんじゃないのかなぁ。
そもそもなんだっけ、奈良に作られた洋風建築が非常な不評だったらしく、ええと、片山東熊が作った奈良公園内の奈良帝室博物館(現・奈良国立博物館本館)か。まあ、作るんならもうちょっと考えてからね、的な要望を受けて同じ奈良公園内に作られたのが和洋折衷な風情のあるこの奈良ホテル
折衷様式ってまあ別のものを混ぜるのでどうしてもトンチキになることは多いと思うんですが、奈良ホテルは少なくとも見事な融合例じゃないのかなぁこれ。欠点があるのだとしても正直デザインとはちょっと別な気もするなぁ、結構いい。

この回にはル・コルビジェの基準寸法を擬人化した「モデュロール兄弟」が出てきてたんですがホテルメニューの日本風の洋風インドカレーを突いて首を傾げて、確かにあれだ、この奈良ホテルちょっとカレーっぽいのかもwww
なんか神社っぽい感じの屋根や入り口、本当に中にどーんと鳥居があったりもするものの、それはあくまで暖炉と同居しているし、建物全体の作りはわりとスタンダートな洋風というか、ただし細かく見ると和式が隠れていて、という細やかさ。
奈良に溶け込むように、そして使う人間たちが客も従業員も含めて不便のないように、罪のない和式の装飾はふんだんに、てのは普通に旅行者にも好評だよねぇこれ。で、それだけ思い切ってるのになんか調和してるんだよね、デザインって不思議だよなぁ。