「江戸の都市計画-建築家集団と宗教デザイン」講談社選書メチエ66、宮元健次

すごく正直、この本の中でも出てきた「特定の形を形成する配置」というのは一時わりと好きで読んでいましたし、東北にある北斗七星(の神社)なんてのはもうあれは信じるとか信じないとかじゃなくて明言されている上、全てが現存していて実際その形をしているのでなにかの意味があるんだろうなぁと思いますし。
江戸城から見て上野の寛永寺日光東照宮が並んでいるのもこれも非常に露骨でいいと思うんですよね、ただ、それが富士山から見て東北のラインに当たり、つまりはこれは富士山信仰の表れだったんだよ!! という部分は、すみません、わかりませんでした。
信じるとか信じないとかの問題じゃなくて説明になってるのかどうかがよく…。

ただ、全体的に駄目だったかというとそんなことは全くなくて、どちらかというと怪僧のイメージが強い天海さんもいろいろ伝説あるけど、まあ普通に会津の葦名家に生まれたんだろうね、とか。どちらかというと温厚で真面目なところが徳川家康に気に入られたんじゃないかなとかわりと読みやすい内容になっていまして。
そもそも本が江戸のトータルデザインをしたのは誰か、ということが大工の家から語れていまして、全体的な配置を見て、藤堂高虎江戸城の計画をしたところまではわかっていて、さて江戸そのものの宗教に関してのデザインを作ったのは誰かな、というところで出てきたのが宗教家として家康に沿った崇伝と天海、崇伝はどうも実務で関わっていた節しかないので基本的には天海が江戸の宗教に深く関わったんじゃないかな、という順序もお見事。
個人的には大工が士農工商で工なのに戦闘に関わっていたのはもう少しあとの時代の分類のような、とか、天海出てきたら大工の話がなくなってしまったとか、家康の埋葬とか引っ掛かるところはぽちぽちありましたが、概ねのところは面白かったですw