「日本産業史(2」日経文庫498、有沢広巳・監修

前の巻ではそれこそ幕末の政体がどうのという話から、国が産業の立ち上げそのものに関わったり、逆に戦争によって搾取を仕掛けてきたり(材料もだけど人材も)、ということでかなり全体的に共通の要素が多かったんですが、戦後もある程度はそういう状態が続くのかな、とぼんやり考えていたんですが、どうも産業によって違ったみたいだなぁ。
本の前半が復興期、後半に朝鮮戦争がありまして、まず財閥の解体命令が緩和され、戦争特需もあいまっての高度経済成長期を迎えているはずなんですが、まだまだ混迷の色合いが強く、やっと好転したかどうかというレベルの業態も少なくない。
というより、1巻の時点ではそれほどなかったんですが、2巻は非常に技術の話が多く、アメリカからの技術移転や新技術開発(しかもまだ形になるほどでもない時期)などを行って、やっと体裁を整えてるって段階に見えていたので、私、この本を読み終わった時点で「高度経済成長期の直前までの時代かな?」と考えてしまっていたんですが、そうじゃないんだ、金の卵と呼ばれた団塊世代を使い捨ての労働力とし、社会構造に矛盾を抱えつつも、成長期にまい進したってのが高度経済成長期そのものでした、忘れてた。

本を読んでいて気になったのが時々リアルタイムのように語られていた部分があったことと(でも平成6年の刊行、古い記事のまとめ直しだったんだって)、日本の経済規模が世界順位3位と言われて過大評価だなー、とものすごくあっさりと言い切っていたことなんですが。
ヨーロッパとは並んだとは考えていいかな、程度の評価も、まあそれこそこの本の各産業の段階みたいなものを読んでいると意味がわからないでもなかったなw
日本は中小企業と大企業との複合発展って認識してたんですが、復興→高度経済成長期の前半までは完全に財閥頼みだよなぁ。財閥解体解除と共に復活した業種少なくないのね。