「海運業界」教育社新書 産業界シリーズ539、織田政夫

もともと海運の歴史を読みたいなー(もうちょっと言えば日本郵船の歴史)、というつもりで手に取ったんですが、すごく大まかに便宜置換国問題と、船員のコスト安によりまともに経営しているととてもではないけれど太刀打ち出来ない、しかしさすがに安全保障上の問題から一定数の船籍がないと困る、という一点にほとんど集約されており。
パナマがまず登場して、リベリアが今は圧倒的、キプロスバミューダなどが上げられていたんですが、まあまあタックスヘイブンなんかとも被ってたりするのね。
まあ、なんだかんだと船員は特殊技能でもあるし、ある程度の時間が経てば賃金格差が減っていく傾向にあるとは思うんですが、もともと施設関係の費用が高い業界だからなぁ、維持するだけでも一苦労というのも仕方ないのかも。
今の時点ではもう叶うはずもないので、船員の就職問題なんかを扱ってましたが、個人的にはフランスのやり方が一番いいと思うなぁ。陸と海の免許が共通ってあれ。
(あと触れられていたのがノルウェーで、失業率自体が2%と低いので問題ないって。)
どこに船の国籍を持っていても特に問題がない、という部分はともかく、そのせいでチェック機能がろくに働かなくて老朽船が増えたり、船員が少なすぎる&未熟技能の船員が多すぎる、ということで事故も少なくないらしく。
でも保険でカバー出来てしまうってのも、うーん、ちょっと構造的な問題なのかも。

日本が戦後世界最大の規模になった、ということが語られていた部分があったんですが、アメリカがパナマに船籍を移してったせいもあるんじゃないのかこれ。てか、アメリカ、ギリシャ、日本が結構実際の船の所有者として挙げられてたんですが、ギリシャの名前にちょっとびっくり全体的に把握しにくくなってたりもするんだろうなぁこれ…。