「伊豆急100形-誕生からラストランへ」RM LIBRARY-34、宮田道一/杉山裕治

伊豆急100形―誕生からラストランへ (RM LIBRARY(34))

伊豆急100形―誕生からラストランへ (RM LIBRARY(34))

 

 

伊豆急が鉄道会社として誕生したのは昭和36年(昭和20年が終戦、で約10年が復旧期)の時点。もともと観光需要はあったものの特別な地形をしているためになかなかそれが生かせなかったという伊豆半島の観光路線として生まれ、その鉄道会社に投入されたのがタイトルにもある伊豆急100形。
今から見ると少しあとの大手私鉄の通勤車両みたいだなー、と考えてしまうんですが、この時期としてはだいぶ先進的、しかもこれ自体が一人の私人である東急の五島慶太の発案で作られたとなると、さすがに大したものだよなあ、しかも敗戦後の復旧すぐっていう。
観光そのものがやっと庶民の手に届くようになった時代の誕生でもあるんだな。
高度経済成長期の時期には大変に持て囃されたそうなんですがそりゃそうだろうなぁ。
(この鉄道会社自体がこの時期に作られていたおかげで、高度経済成長期の恩恵を受けてだいぶ経営的にも楽だったようですよ。今鉄道会社の経営が苦しいのって高度経済成長期の終わりの建築費高騰の煽りってのもあるので、二重の意味で時期的に英断だったわけか。)
なんでもこの五島慶太氏、開業直前に亡くなってしまったので、開業当日の電車の先頭に遺影が飾られていたそうですよ、事情知らなかったらびっくりだよなあれww

一応祖父の家があったんでぽちぽちと使うこともあったんですが、観光地ってほどは高くない料金でパノラマカーだの踊り子号だのリゾート21だの乗れたんで、特に当時は鉄道趣味でもなかったんですがさすがに楽しかった記憶だなぁ。
あの謎の料金設定って要するに、もともと経営が良好なところから来てたのね。
さすがに100形は今から見ると特別でもなんでもないんですが、この先進性が今の黒船なんかにも通じてるって考えると、まあ、一つの時代の先導役なのかもなぁ。