「異郷を結ぶ商人と職人」日本の中世3、笹井正治

この本の刊行が2002年で、このシリーズの編集者に網野喜彦氏が入っているのですが、あー、確かにかつて読んだあのラインの話ですね、正直申し訳ないながら当時はだいぶ「これを信じていいのか悪いのか」という疑心暗鬼に駆られたものですが、どこを見ても一定の資料に基づいているので一安心。
見事なまでに史料がない辺り、わりと最近まで扱えなかったジャンルなんだろうなぁ。
(歴史書の類や、長期の日記なんかが史料扱い、それ以外は大雑把に「資料」。)
逸話などの絶対数が少ないのかわりと昔から見掛けるものもありますし、『安寿と厨子王』などが語られている部分もあるし、当時の職業を知るのに一番有効な資料が歌合の題材だった、などを見るとこれだいぶ人数がいて分析していく必要があったんだろうね。
寺や神社の文献資料というのも定番なんですが、これは途中で終わっちゃうんだよね。
裁判が持ち込まれる寺や神社、ということが語られていたんですが、あくまでも土地の有力な存在として仲裁に関わっていたってことになるんでしょうか。正直なところ、当時どのようにその部分が運営されていたのかは見えて来ないよね。
そして地味に、誰がこの管理していたのかもわからんよなぁ、お寺や神社の人たちだったんでしょうか。でもそもそも、神人だとか寄人とか、各寺や寺院が作ってる座に関わる人たちとか結構大きなグループみたいだったしなぁ。

この神社や寺院に属する商人たちの存在は、半ばその意義がわかりにくかったんですが、強盗に対しての報復を恐れさせるという意味でもっとも有効に働いたのだとか。ああ、確かに協力や寺社の所属者を襲うと確かにあとが怖いな。
あと銭が基本的に輸入、貿易はどうしても必要、金融業は盛ん、みたいな感じですかね。