「日本証券史(1」日経文庫715、有沢広巳・監修

もともとは1978年(昭和53年)に書かれたもの、ということはあれか、確か高度経済成長期が終わるかどうかの頃か、前に同じ趣旨で作られた『日本産業史』を読んでいたんですがその時に確か「なんでリアルタイムみたいに書かれてるんだ?」と悩みながら読んでいたので読み飛ばしてしまったのがちょっと惜しかったですw
(多分1巻で断り書きがされていて2巻の段階でその時代に突入したんだな。)

そもそももともと銀行や信託銀行の歴史というものに興味があった関係でこの本を手に取ったので、証券の歴史というものがそれほどわかるわけでもないんですが、まあ前に鉄道関係株が圧倒的だった時代、という趣旨の証券市場の本も読んだことあったっけ。
もともと株券というものがまず銀行株(国立銀行でも私立銀行でも)の形で刷られることなったもののこれは一般流通することがまずない限られた存在のものであって、鉄道株が出てきた段階で初めて証券市場というものが機能するようになったんだよん、ということがここでも語られていたんですが、その鉄道株の発行者である私鉄勢が明治末期の頃に一斉に国有化されてしまい、一気に9割だかの証券が消失してしまった、というのはやっぱり笑い事でもない自体だよなぁ。
というかこの明治39年に始まった国有化って日露戦争の翌年から行われているんですが、資金的に有利だったのか不利だったのか、正直私の知識だとわからない。ただ、フランスの証券取引所の所長がロシアから賠償金を取らないでくれれば、日本にフランスの市場での公債の発行を認めてもいいって話と、その後明治43年に実行されたのはちょっと面白い。
ただ、金解禁から戦争に至るまでの話はどうも複雑でわかりにくいんだよなぁ、結局軍部に逆らえなかったと認識してしまったんだけど正しいんだろうか。この巻は戦後くらいまで。