「建築探偵 神出鬼没」藤森照信・文/増田彰久・写真

建築探偵 神出鬼没 (朝日文庫)

建築探偵 神出鬼没 (朝日文庫)

 

 

この中で語られていた目黒雅叙園というのがとても気になったんですが、ええはい、なんだ、昨今の間違った時代風とかよりも酷いというか…遠慮とか控えめが吹っ飛んだ空間と表現されていた場所は、出来れば残しておいて欲しいですよね。
ただ、直したくなっても無理はないかなって、著者さんたちも考えてたかもな。
大雑把にこのシリーズは著者さんたちの趣味の発露で戦前の建築までをテーマとしているのですが、ちょっとこの巻の共通点がわからなかったんですが、建築のルーツからの逸れ者みたいなものが集まっていたのかなぁ、と。
擬洋式はまあ、その性質上仕方ないんですが、ほとんど残ってないんですよねw
(要するに初期の頃に作られた西洋建築「風」、でも強度の心配はないから!!)
明治神宮の宝物殿が石で木造建築を模していたりとか、東京女子大の寮がなぜかコンクリート建築がほとんどないはずの大正11年の建造だったとか、あーでも、煉瓦はもう主流じゃないし東京駅(大正3年)もコンクリで予定されていたらしいから微妙。
当時の美意識だと隠してたはずだったのに、というのは賛成、先進的だよなぁ。

加賀藩の開明派によって近代産業の初手として作られた尾山神社とか(寺ならともかく神社が、とかなりの逸れっぷりにw)、昭和20年終戦の年の3月に竹筋コンクリートと鉄滓ブロックで作られた建築が曲がりなりにも現代に残っていたとか。性質の悪いコンクリを厚くする必要があったのに見事にデザインに盛り込まれてたんだって、うわ見たい…。
あと田上義也さんは、なんだ、なぜ北海道に行ったのかなぜチェロを弾いていたらライトの弟子とバレて引っ張りだこになったのか、戦争で建築の仕事がなくなって音楽団を作る使命に目覚めたのか、わかりませんがこの人を紹介したい気持ちはわかります。うん。