「都市と職能民の活動」日本の中世6、網野喜彦/横井清

「職能」民というのがそもそもちょっと独特の言い回しなんですが、どうも中世の頃には「職」という言葉が今の職人とはだいぶニュアンスが違うらしく、そもそもこれは「シキ」と呼び、「色」や「式」などとも代替されることがあった、と語られていたんですが。
あー、ひょっとして陰陽道なんかで出てくる式神ってそういう文脈なのかな(オカルト用語だけどオカルトだけではないよ)。

それと中世においての職人という言葉はなんというか技能全般のことを指していたらしく、趣味の技術などに関しても職人という呼び方をしていたよ、などという辺りが「職能民」という単語を用意した理由なのかな、と読んでいたんですが。
当時はさらに、職人と商人が不可分だったようで、境い目が曖昧だったというのもあるのかな、だいぶあとの世代とは違うといえばいえる。
中世の初期には例えば馬子(童子姿で仕えたようです)、遊女なども特に地位が低い様子もなく、遊女などは特にその中から女の官吏なども普通に存在していたらしい形跡があるものの、中世の終わりくらいまでには卑下されるような存在になっていたのだとか。
これ、鋳物師でも神に近い存在として尊敬を集めていたのに、中世の終わりくらいには差別される存在になっていたという変化があったって同じシリーズの1巻で語られてたな。
遊女も普通に神官に近い存在ってのはよく聞きますよね、そこは後世もそうだしな。
なんだろう、庶民と宗教の在り方みたいなものと関係あるんですかねこれ。
田舎と都市の区分も、果たして後世のものと同じような認識だったのか、とか。
東国の荒夷と言われるような存在との違いみたいなものも、もうちょっと踏み込まないとなんとも言えない段階かしら。ちょっと論文集みたいな内容だよねこれ。