「銀行の知識」日経文庫455、伊藤忠明

約20年ほど前の1992年の刊行、このあとに金融ビックバン(私は日本版ビックバンって呼んでた記憶はあったものの、日本以外でもビックバンがあったって知らなかった、でも確かに他国であったからこその「日本版」だよなw)(英国が先行したようです)の時代を迎えるので、よく考えるとだいぶ内容が古びているはずなんですが、あんまりそう感じない。もちろん戦後から一番大きな変更前の時期にシステムを機能的に語っているので一旦押さえておくにはもともといい本だとも思うんだけどね。
この後、実際の金融自由化を迎えたらいろいろと混乱してわかりにくくなってるしな。
しかしまあ、「護送船団方式からの卒業」とか、懐かしいこと言ってるなぁw
(今気になって調べてみたんですが、1993年にバブル崩壊で1992年にその危険性が唱えられていたようなことが検索でも出てくるので、ある意味この提案も納得。)

日本版ビックバンとは「フリー/フェア/グローバル」を目指す、と語られていたんですが、この本の中でもフリー/自由化は説明しやすいものの、フェア/平等とグローバル/国際化に関しては実際の動向として語るのは難しい、と言われていて、金融ビックバンが自由化とだけ認識されていたことを考えるとある意味で的確な説明だったのかも。
どうもバブル経済の中で長年評価が低かった日本の銀行の国際評価が急激に上がっていたらしいんですが、自己資本への評価の甘さによる過大評価と、金利の自由化がないため競争がないことがその評価上昇の理由だとなぁ。意味がない。
ここも改善されたはずなんですが、資本はともかく金利の自由化って今もないよなぁ。
結局、その後の日本の金融業界そのものは幾度かの激変を迎えたものの、理論的にはほとんど変化してないというのがこの本が古びていないという理由なのかしら…。