「幻の北海道殖民軌道を訪ねる-還暦サラリーマン北の大地でペダルを漕ぐ」交通新聞社新書002、田沼建治

 

植民軌道というのはそもそも内務省直轄の時代の北海道庁によって地域生活の補佐として作られた、と本にあったのですが、多分これは前に読んだ廃線に関しての本の「まず鉄道が作られて町が作られ、そののちに道が作られ、そして鉄道が廃線になった」というような流れを押さえたほうが全体的にわかりやすくなるんじゃないかな。
ちょっと広い道を見てこの道がそもそも軌道だったんじゃないのかなぁ、と著者さんが訝しく思っているところがあるんですが、多分道路が作り終えるまでは平行して存在していただろうし、それこそ軌道の手を借りて道路を作っていた可能性もあるのかも。

この本そのものが平成13年から平成17年まで、趣味のわりには頑張ってるけどそれでも毎年ってわけにはいかないんだよね、みたいな感じで、内容も現地のホテルの内容からキャンセル料金だの組み立て式の自転車を無理に金属探知機に突っ込まれて傷心したことなどかなり個人的な面もあるんですが、あくまで当時の日記で、特に当時は出版する予定もなかったみたいですね、現地の人とも趣味ですよー、と言ってるし。
若い人だともう完全に軌道の存在を知らないし、ある程度歳を取った人の話を聞けても土地によっては一度乗ったことがあるかなぁ、みたいな曖昧な感じで。
どういう理由かは不明ながらたまに歴史に詳しい人がおられるんですよね、でもそれもあくまで趣味に近いような領域なんだろうな、そして周囲の人もなんとなくだけどそれを知っていたりするんだよね。そもそも北海道だから別に民家がどうのとか気にしなくてもいいのよ、と言ってくれる人がいるものの、関東の人にはちょっと荷が重かったりとかw
鉄道の本、というよりは北海道にかつてあった軌道との距離の遠さみたいなものを感じる本だったかなぁ、なんというか、忘れられてると巡るのも大変だよね。全体的に。