「建築探偵 奇想天外」藤森照信・文/増田彰久・写真

建築探偵奇想天外 (朝日文庫)

建築探偵奇想天外 (朝日文庫)

 

 

日本のキリスト教会はまあ転用したものでない限り基本洋風建築(擬洋式はあったようですが、擬洋式自体が残ってないしねw)のはずなのに、なぜかどう見ても寺に搭が生えた奈良教会だとか。真上で原爆が爆発したせいで世界的に有名になってしまった原爆ドームの建築家であるレツルを追ってチェコに行ったり(しかし丈夫な骨格だよなぁあれ)。
同じくチェコ人のフォイエルシュタイン、これが聖路加病院などに関わった人で、レーモンド…なんだっけ、レーモンドだけは聞いたことあるんですが、自信ないな正直。昭和初期に活躍した丹下健三などのルーツらしいんですけどねー、てことはコルビジェのライン?
あと、長崎にいたトマス・グラバーの住居や工場がどうもなにかの元があるようなのに不明、というのは前から聞いていたんですが、やっとアモイに兄弟分を見つけ出した、と思ったらアモイのほうが後に作られていたとか、残念でしたw
見た目だけだと植民地風だよねー、と思うんですが、スコットランド人なのか。

辰野金吾の建築が2つ、しかも日本銀行と国会議事堂、と入っていたのでちょっとらしくないんじゃ、と思ったらば日本銀行は「初めての日本人の手になる建築」で、国会議事堂はそれこそ辰野金吾が晩年に割り込んで寿命が尽きてしまったせいでトータルで設計者がばらばらになってしまい、なるほど建築探偵が調べるのに相応しい内容ですw
この方、あんまり悪いイメージないんだけどねー、と思ってたんですが、これが最初で最後の我が侭だったんですね、それは仕方ないな。
あとアールデコの誕生を目の当たりにした日本で初めて欧州に渡った大工さんの話も面白かったな、ていうか、初期の頃は本当に混乱してて、面白いけど大変だなぁしみじみ。
新潟のサフラン酒造と、川奈ホテルの「そして財閥は消えてホテルは残った」も好きw