『日本銀行八十年史』日本銀行史料調査室

銀行の社史だと前に『三菱銀行史』の戦前の部分だけ読んでいるんですが、まあ、あの、比べると普通の銀行ですよね、やっぱり。というか、銀行だと金融関係の部分も多くなってくるものだと思うんですが、時々名前が出てくる横浜正金銀行というものが作られまして、そこが主に外国為替などを取り扱っていた関係なのか、日本銀行はやっぱり経済寄り。
(まあすごく大雑把に金融は「金融市場」に関わる感じで、数字が多く、商業行為に関わるのが経済寄り、みたいに大掴みに認識しています、多分正確じゃない。)
特に第一次世界大戦などに関しての戦争を財政再建の糧と見做してる言動は、ちょっと戦後昭和37年に刊行されたものとしてはどうなのかなぁ、と思わないでもない部分もあるのですが、これが当時の日本人一般の感覚だと仕方ない面はあるのかなぁと。
さすがに日本銀行が金がないから戦争だ戦争だ、みたいなこと言ってないだけいいか…。
あと、結局軍部からの要求に対しての無制限の紙幣発行に至ったという段階で(それによって国内でもインフレが引き起こされた)、あんまり特に感慨が示されていないし、ナチス・ドイツに支配された銀行、ライヒス・バンクの規約の影響を受けて改変したことへの反応もなんだか薄い。これあとの時代にだいぶ問題視されてるのに。
んー、これ、百年史のほうではなんか変化あるんでしょうか、今見ると不思議だなぁ。

もともと紙幣発行の権利を持った国立銀行が153行作られまして、当然のことながらインフレに見舞われ、紙幣発行機能を一箇所にまとめる、というコンセプトで作られ、あとで作られた横浜正金銀行とは…やっぱり微妙な距離感だよなぁ、最初から特殊銀行として作られたんだかそうでないんだかなんか記述が別れてるんだよね。
まあ、ここの社史が経済の正道であり、正史ならば、見たことある内容は当然か。