「洋館を訪ねる-旧小笠原伯爵邸、旧岩崎邸、迎賓館」妹尾高裕

洋館を訪ねる (プレイブックス・インテリジェンス)

洋館を訪ねる (プレイブックス・インテリジェンス)

 

 この前に「建築探偵」の4冊シリーズを読んでいたんですが、ガイドブック的な意味だとまとまっていて十分面白いんですが、歴史語り(ただしあちらはメインストリートじゃないものも多い)とか建築様式がー、というのは全くないんですよね。
まあただ、安田銀行の支店をホテルにしたから経営が上手く行かなかったのかなぁ、しかしホテル戻ってきて欲しいなぁ、とか、重要文化財に指定される時に暮らしにくくなるのではないか、しかし商売のことを考えると、という旧家の葛藤とか。
一番まとまってたのは長崎のトマス・グラバー関係の建物群じゃないんですかね、あの人、当人の伝記だと扱いや重要度が曖昧なこともありますが、建築史の話だとまず外す人はいないですよね。ていうか当人の建築でどこの様式を参考にしたのかって、多分今もまだ建築史の謎なんだろうなぁ、どう見ても素人の思い付きじゃないしさw
(なんの元ネタもなかったら彼はどう考えても建築家になるべきだったよマジ。)

この本では東京横浜、神戸、長崎と新潟、という切り口でまとめてられているんですが、これは要するに建物の絶対数が多いところと、それとある程度歴史的な意識が高かったり、逆にむしろ個人の建物として存在していることが多い場合とか、いろいろあるんでしょうね、最近ちょっと養蚕関係の建物がクローズアップされてますがやっぱりそのままの形で残ってること少ないしなぁ。
三信ビルや明治生命館などの目的のままで建っているビル、銀行など、やっぱりそこそこの数がある宗教施設など、どちらかというとこの建物がどうして残されることになったのか、という話も面白そうですね。時期も目的もばらばらですが傾向はあるかな。
まあ、1世紀を軽く越えても残る建物が詰まらないはずないよね、さすがに。