「「明治」という国家(下」司馬遼太郎

下巻で特に面白かったのが日本の戦国時代から近世(江戸時代ね)の世、近代初期くらいまでのキリスト教との関係性なんですが、日本に来たのがイエスズ会で、なんかあれ、確かに清廉なんだけど確かにちょっと変だよね、というところから。
しかし近代になって日本に来た伝導師たちは本当に一級品だった、という流れはお見事。
カソリック側からの事情はご存知なかったようなんですが、実際にマリア神道などの隠れキリシタンの存在が衝撃と感動をもたらしまして、一刻も早く正しい伝来を、ということでなかなかの人物が送られて来てたんだよ、というのは聞いたことがあります。
その辺の事情がわからなくても、多分何人かの存在でわかるんだろうなぁ、司馬さん。
で、あとは上巻から引き続いて勝海舟福沢諭吉との対比だったんですが、いや、どっちも結構有名な人だけど、関わったの一回だけみたいだし、比べてるの珍しいよなぁw
勝海舟が自分のほうが能力があるのに、どこぞの年下のぼんぼんが上官として来やがった! とむくれて帰ると言い出したり船室に閉じこもったりと見苦しく、普段なら嫌いなんだけど、と前置きしながら、しかし彼の場合は「あのぼんぼんが悪いんじゃない、日本の権力構造が悪いんだ」という結論に辿り着いたので褒めるしかないとか。豪快www

司馬さんだけじゃなくて私も福沢諭吉さんも好きなんですが、この方、イメージに反して結構身分重視というか、やっぱり地位ないと教育もしにくいわ、とか、実情に反しての失望とかも結構表明しててそこまで開明的でもない、んですが。
ただこの人、人生の後半生に行けば行くほど寛容になるんだよなぁ、逆だよ普通。
この司馬史観、とたまに揶揄される見方も多分少しずつ訂正されていくんだと思います、下巻は特にそういう部分が多い、でも、残る部分は残るよな、人としてわかるもん。