「わが国古代製鉄と日本刀」長谷川熊彦

この本の刊行が1977年(昭和52年)なので、正直気になって仕方なかったんですが鋳物師関係の資料が引かれてないのってひょっとしてまだ研究が進んでいなかったのか協力が得られなかったってことなんでしょうか、さすがに鉄を扱っててそこがないのはちょっとよくわからなかったんですが(刀鍛冶とは別系統みたいなのでがっつり踏み込んでじゃないというのは当然なんだけどね)。
鋳物師関係の人たちがこちらの研究を意識してる様子がないのも地味に…。
そもそも日本は鉄の扱いという意味では後進国なのでまず周辺国のことから語られていたんですが、前に古刀の本で読んでいた褐色鉄(わりと低い温度で精製した鉄)からさらに精度の高い鉄が作れないと思われていたが、と語られていたんですが、日本以外でのわりと定番のうちの一つがその方式でした、うん、複雑な気持。
最初からわりと高温で一気に使用に耐えうるまでにしてから、というのが日本ではどうもスタンダートだとされているみたいなんですけどね。

で、あと面白かったのが大化の改新のあとの制度改革で置かれた8省のうちの兵部省造兵司が刀鍛冶を担当していたが、民間鍛冶にも依頼されるようになったよー、みたいなの、この時点でどのように対外的な方針が変わったのかなんてことはさっっぱり知らないんですが、律令制はいつかやらないと駄目だとは思ってました…。
これ以前は蕨手刀というだいぶ耐久度が低いもの、直刀が主で、銘もこれ以降に義務となったみたいなことも。少なくともこの「大宝令の営繕会」の命令自体は実際にあるんだろうなぁ、民間鍛冶に依頼したための措置って解釈でいいのかしら?
それと鉄の歴史と日本刀の歴史が、うーん、鉄もまだ曖昧ですねこの時点で。