「古代刀と鉄の科学」雄山閣考古学選書39、石井昌国/佐々木稔

奥州(というか東北)の舞草鍛冶というのが前から気になっているんですが、日本刀単体の本だと30冊くらい読んできて今の時点でカラームックの1冊にしか載ってなかったので、こう、そのこと自体を一体どう捉えていいのかわからないんですが。
直刀がのちの湾刀である「日本刀」のルーツということは間違いないとして(なんというか過渡期の直刀と湾刀の中間みたいな存在が残ってるから見ればわかる域よね)、蕨手刀がそれに影響を与えてないってわけでもないよなぁ、というか、コンセプトとしては近いよね? で、この蕨手刀は東国に残っているものが時期が早いそうなんですが、どういうわけかあまり一般的に触れられてはいないようです。
この本が1995年の刊行なんですが、私も刀と鉄を両方扱った本でしか今のところ見たことはないなぁ…どうなってるんだろう日本刀業界。
というより、直刀もいつも数本しか紹介されていないのでよく知らなかったんですが、東国由来のものってかなりたくさんあるのね? むしろ東国由来のほうがよっぽど多いように見えるんですが、これも一体どうなっているのか、よくわからない。
一番びっくりしたのが西東京にある武蔵総社の大國魂神社の宝物庫の中にあったという直刀が、どう見ても正倉院に入っていたクラスの直刀に見えるんですが…。
明らかに当時の一級品がなんで東国にあるんだろう、ううん。
(もともと武蔵国府と一緒になっていた神社なのでその場所にあった、というところまでは問題はないです、ただ武蔵国そのものが当時地位どうだったんだろうというw)

そもそも倭鍛冶も韓鍛冶も渡来技術なものの、技術力にどうして差が出たのかは今後の研究とか、なんだろう、私今までなにを読まされて来たんだろう感。まあいいか。