「図説 東京 都市と建築の130年」初田亨

この著者さん、前に百貨店の本を読んでいた時にも従来の百貨店の企業として前身の呉服商ではなく勧工場をメインに語っていて(物品販売とショーウィンドウの登場として捉え、勧工場が百貨店の登場と共に姿を消したと考えると同じ役目でもあるよね)、ちょっと他と違うな、ということを感じていたんですが、建築デザインの流れというよりはその機能性のほうに興味がある人なのかなぁ、ということをふと。
東京というちょっと変わった都市がその初期の頃からの混乱や関東大震災を経て、高層都市になったということには興味があるものの、そうなるともうある程度の空間コンセプトを持つ現代建築全体の流れに意識が向ってしまい、そこを結論として〆、みたいなw
近代建築からの流れって初期は構造や建材に左右されているし(屋根が一番難しいって覚えると把握しやすいよ)、その次にデザイン性へとなって、最終的にその周辺環境を生かす、という自然回帰みたいな流れになるんだよね。
で、この方はとことん機能部分に興味があるというか、建築によって娯楽がどのような発展をするかとか、どんなふうに当時の都市の人間が受け取っていたとか、なんかちょっとずつテーマが違うんだけど、興味を持っている部分は多分ずっと同じ。

まあ読んでいる時にはちょっと驚いたけど、そう理解するとそれはそれで面白いか。
この本でも勧工場や百貨店、銀座のレンガ街と銀ブラ(銀座の街歩きみたいな、私より少し年下の人がもう知らないんだよびっくりした…)、喫茶店の流行り廃れ、丸の内のオフィス街などが扱われてたんですが、建築どうのというよりは都市そのものを娯楽として捉えて、当時どんなふうに人が動いたのかって歴史って気もするなぁ。
ただ、本当にこの本、現代建築の流れに至って終わります、いいけどw