『日本の美術107 山城鍛冶』佐藤寒山・編

正直なところ何度も読んでいる著者さんなのですが、やっぱり地域絞ってる本のほうが焦点はっきりしててわかりやすいなぁ(まあ、全体的な傾向をある程度踏まえてるからこそ特色がわかりやすいんだってこともあるとは思うんですけどね)。
そういや来派に相州伝に近い作風のものがあるよ、というのは口頭では聞いていたんですが、今まで特に読んだことがなかったんですがあー、この辺か。
さすがに白黒の写真でなにがわかるってこともないんですけどね、ちょっと荒いかな。
あと、写真と言えば粟田口の吉光が一振りもカラー写真になっておらず、なぜだろうとぼんやり思っていたんですが、あ、はい、三日月宗近ではなくて「宗近」銘の代表格である太刀とか、来の諸作品とか、綾小路派とか、他の本でもいつも見てる定番ものとは別の刀をカラーに選んでるのか、あー、さすがですね、やっぱり。

後鳥羽上皇が諸国から刀鍛冶を呼んでいただとか、自分でも刀を作っていた(これに関しては残ってはいるんだよね?)というのは、どういう扱いの情報なのかちょっとわかっていなかったんですが、あ、歴史書や歴史書に順ずるとされている長期間に書かれた日記の中に出てこないのか…。一過性の出来事ならともかく、ずっと行われていたのならばなんらかの形で残っているべきと考えるのも確かにわからないでもないなぁ。
で、この辺に対する著者さんの見解としては周囲からは歓迎されていなかったのではないか、という解釈になっているようです。まあ、鎌倉初期と同時期の人だからな、正直全体的な情勢知らないとなんとも言えない気が。
あと、面白くはあったんですが、住居がだいたいしかわかってない人がほとんどで来は全くわかっていないって、全体的に歴史調べるの大変そうだなぁ、刀だけなんだな。