「蘇れ古代出雲よ-出雲王朝は鉄の故郷・三刀屋にあった」石飛仁

正直「王朝」の言葉に若干の警戒をしながらページを開いたんですが、そうだね、失礼しました、もともと門か屋敷はあったって記述のある場所で(用語に関して大和政権に遠慮をした可能性が、というのは正解ではなくても仮説の説得力としては十分)、しかも近くから358本の銅剣が出てきた地点がこの三刀屋なのだそうです。
だいたいあれだ、よく考えたら危険なのはあくまでも邪馬台国だったね…。
そういやそもそも、出雲には特に権力なんかなかった、と言い切られてたこと考えるとこの程度大したことではなかったね。今までのほうがなんぼか酷いわ。

個人的には大量の銅剣が気になって仕方がなかったんですが、鉄器があるということはわりと言及されてまして、実用的ではないはずなんだけども、それにしてはちょっと多い、というか、なんで埋められていたんだかもよくわからない。
でも鉄の歴史の本読んでて忘れてましたけど、そもそも鉄剣って埋めておくと錆びてなくなっちゃうんだっけか…銅剣だけが残った可能性なんてあるんでしょうか。
大和から鉄の技術が流入したという説に関してはないない、と問題にしておられなかったものの、吉備と出雲だと微妙に軍配を上げられないようで、少なくとも技術交流があったのは概ね妥当としていいみたいだなぁこれ。
この本はそもそも鍛冶師の子孫の方が、自分の故郷の存在を研究し、それと自分の父親が関わったことのある戦争絡みの事件の決着を付けよう、という二つの目的でもって語るみたいな内容なので、ちょっと最初のうちは馴染みにくかったんですが。
実際の出来事が捻じ曲げられることはあるのだ、という信念を持つに至って過去の歴史に対峙するっていう結論に達した辺りで納得、ああ、うん、いつでもあるんだろうな。