「大久保利通-明治維新と志の政治家」日本史リブレット人072、佐々木克

大久保利通―明治維新と志の政治家 (日本史リブレット 人)

大久保利通―明治維新と志の政治家 (日本史リブレット 人)

 

 

まあ正直なところ西郷隆盛の人気がどうして非常に高いのかと言えば(多分坂本龍馬も同じ文脈)、途中で若死にしてしまったからというのが大きいのではないかと思うんですが、実際のところ、当時の人望みたいなものも西郷さんのほうが上だったんじゃないかということを考えないでもないんだよね、なんというのか、わかりやすいのは彼だよね。
この大久保利通という人は、どういう立場だったかどういう思想だったか、どんな行動を取ったのかというのが外側からだと説明しにくい、徹底して実務の人で、ある意味で傍目に人気があまり出なかったのも、けれど組織の中で常に中心的な存在であったというのも同時にわかるんですよね。
で、この著者さんの本だとそこの動きのようなものが多数の人物や組織の動きと共に説明されているので、とにかく大久保さんが駆けずり回ってるのもわかるし、彼の行動が比較的柔軟であることも、一度決めたことを曲げないこともわかりやすい。
でも、それが当時から周囲の人間にわかりやすかったかというとそうでもないと思うんだよね。ある意味でそこが著者さんの欠点と言えばいえるのかなぁ。
ただこの人の場合、西郷隆盛氏に関しても徹底して「わからない」という立場しか取っておらず、旧幕府側の徳川慶喜に関しても、長州藩の木戸孝之に対しても特にマイナスの印象を持っていなかったので平等な内容になってるんじゃないのかしら。
あくまで大久保利通の心情を推測するのではなく、ひたすら行動で書いていったのもいいと思います、そして多分だけど、ご当人も考え込んでいること少なかったかもね。

明治維新に至るまでの薩摩藩、そして明治新政府の初期の話を概略で見るにもいいと思います、長州藩に関してはわからなかったけど、それはこれからここに直接足せばいいね。