「図説 宮中晩餐会」松平乘昌

ところで巻末近くになって指摘があって初めて認識したんですが、正直なところコースを前提にしたフランス料理が中心になって日本流のアレンジを加えたというところまでは特に違和感はないものの、イタリアの皇族が来た時に多少のイタリアアレンジを加えたというケースがあったくらいでほぼフランス料理一辺倒だったというのは確かにちょっと不思議。
初期の頃には複数の国から指南役が来てたんだろうにね、そしてそのわりには酒類の記録が一時期にしかなく、多分ワインなのではないかと推測されていたんですが、まあ料理がフランス料理だからって程度の理由だよなぁ、このメニューのコレクションをしていた「昭和天皇の料理番」である秋山徳蔵さんがお酒に対しての興味が薄かったのかしら。
明治天皇が強く、大正天皇が普通、昭和天皇はほとんど飲まなかったんだって。)
初期の頃は料理名もなかなか表記が定まらず、フランス語で併記されているメニューを読まないとわからないということがたびたび語られていたんですが、料理名がちゃんと固定化されてからも、なんというか簡素というか、素材名が書いてないというか。
フランス語併記が途中で消えてしまうので無理もないながら残念がるような様子も。
まああくまでこのメニューというのは晩餐に呼ばれた側に提示される形式的なものなので詳しい必要もなかったんだと思いますが、このコレクション料理の参考になったかなw

どのような晩餐会が開かれてその中でどのようなメニューが供されて、その変化がどんな感じで、ということがぽつぽつと語られているんですが、この本から当時の食事を想像するのは難しいかなぁ、わりと著者さんは詳しいので見当付くみたいなんだけどね。
ところで菓子入れであるボンボニエール始めとした食器類は素晴らしいですね、欧米ままってわけでもなさそうだし、どういうところから来たのかなぁ。