「財閥金融構造の比較研究」麻島昭一

いわゆる明治末から形成され始めた三井や三菱を先頭にした総合財閥から、あと住友と、第一次世界大戦ののちに財閥化された新興財閥(これはたまに聞く呼称だよね)から日産と日窒、理研の3コンツェルンを選択し、全体のバランスを取るためにだいたい第一次世界大戦から第二次世界大戦の終わり頃までを比較した本で著者さんは複数
もともとの資料のばらつきなどもあって、まあ論文を集めたような体裁でもあります。
というかそもそも、三井はそこそこ内部資料残してるらしいんですが、三菱や住友はあんまり内部資料が参考にならないってたまに聞くよなぁ。
三菱銀行が出来たくらいからはさすがに残ってるんだけどこれがなんか遅いんだ。)
住友のほうはちょっとよくわからないんですが、資料そのものが多くないって聞いたなぁ、家業を鉱山としてその周辺のみで展開したからってのもあるのかもね。
基本的にこの本は財務関係の人たちで作っているので、それ以外の事情に関してはあまり詳しくはないようなんですが、新興財閥のほうは銀行がないだけあって資金の流れがわりとよく実情を反映しているようで悪くない内容だったような。
総合財閥はもう出来てからそこそこの時間が経ってますし、もとが一つの家を中心にしていて内部資金が銀行を通じて循環するとも限らないので、どのような資金の流れになっているのかということが直接事情まで辿り着いていないみたいな感じだったなぁ。

ただ、三菱が第一次世界大戦の頃からは三菱銀行が圧倒的に強く、株式公開を通じて外部資金への転換も順調に進み、住友は少し先行したもののほぼ同じ構造。三井は本社機能に関しては記録があるものの支流までは把握されきれず、三井物流の存在が大きく。
新興財閥はどうしようもなく戦争特需がメインだなぁ、てか戦時期だしね、この頃。