「明治の宮廷と女官」扇子忠

大雑把に日本で最後の事実上の後宮であった明治天皇と皇后を取り巻く世界の話だったんですが、この本を書いてる人は女性なのかな、男性なのかな、ということがちょっと気になったものの、読んでいるうちにまあどちらでもいいかなという気持ちに。
特に本の最後の「宮廷の女狐」と言われた下田歌子さんのことを語る時に、確かに彼女はでたらめな人生だったかもしれないが、それは当時の男と全く同じであって彼女が非難されたのはただ女だったからだとしか思えない、と彼女の知人の証言を紹介していたのは平等でいいんじゃないでしょうか(てか愛人だっけ? まあ別にそれもそれでいいや)。

わりと上位の女官に関しては皇后が絶対な地位であるために秩序立ったものがあるにはあるんですが、采女と言われるお針仕事や洗濯などを担当する人たちが、人数がいる分なんというかかなり酷いですね…この辺が一番強硬に旧態を崩されるのを嫌がったらしいんですが、まああんな理不尽なシゴキに耐えたあとで自分が実権握った段階でそれが崩壊するのはたまったもんじゃなかったのかなぁ、負の連鎖にも程が。
料理を作ってるほうの人たちも一応少しは出てくるんですがこっちは合理的ぽい。
高名な女官が何人か紹介されていたんですが、どうも読んでいて明治天皇の夜伽をする人とそうでない人の差がよくわからなかったんですが実務担当と懐妊まで至る女官は全く別ではあるんですよね、権典侍って地位になるのかな? が、出産時期から考えてこの地位にない方が妊娠してた例などもあるようです、う、うーん。
結構一次資料に当たらない本や当時の噂に関して怒ってるんですが、実際に懐妊まで至っただけでもルール外みたいな面があるんじゃなぁ、噂あっても仕方ないのかも。
女官は皇室の世継ぎを生んでも女官のままなのね、まあ、仇花みたいなものかなぁ。