「明治国家と近代的土地所有」同成社近現代史叢書11、奥田晴樹

最近明治期の政治関係の本を読んだりしているんですが、その時に話題になっていたのが主にここで取り上げられていた「地租」に関してで、これはどう頑張っても税収を上げることは非常に困難で(土地の測量で耕作地が増えたことが確認されることはあるんだけどね)(で、まあ、すごく簡単に言えば増えたところは測量を妨害し、荒廃して減ったところは協力したりするんですね、前途多難だ)。
税収は一定なのでインフレだと庶民の負担は重くなり、しかし政府の台所は厳しくなり。
デフレの場合はその逆のことが起こります、要するにあれ、インフレが貨幣価値が下がってデフレはその逆なので、貨幣量が同じだと価値が変わる、という話ね。

で、ことはそれ以前から始まりまして、そもそも江戸時代の土地の所有ってどうなっていたんだろうか、それが明治の新政府となってどう変化したんだろう、一般的に言われていることはあるものの、果たして事実だろうか、ということを順番に分析されていたんですが。
最終的な結論として、一律でどうこう決まっていたわけでもなんでもなく、新政府も一時は強硬に期限を決め、それまでに持ち主を明言するように各地に布告したものの、わりとすぐにごめん、無理っぽいね、と撤回しているという曖昧さ。
各地での争いなどを見ていると、いろんなパターンがあるとしか言い様がなく、そのパターンの多彩さも要するに江戸の頃からの継続なんだろうな、ということと。
一旦金払って権利を譲ったけど、新政権になったから金は返さないけど土地は返せ、という露骨にあかんだろそれ、という地主がいた話などはよくわかりました。さすがにまずいだろうとは思うものの、その悪行のおかけでいろいろわかりやすくて正直助かりました。
うーん、結局あれか、従来の見方は揺らいだものの、まだ研究途上ってことかな?