「瓦からみた平安京」教育社歴史新書 日本史40、近藤喬一

タイトルから平安京における遺跡発掘の本かな、と期待したんですが、うーん、ちょっと系統が違うかなぁ。まああれ、瓦がどこで作られていたとか窯がどのように運用されていたとか、どこの瓦が多くどこに運ばれていたのか、そもそも日本で瓦が作られたのは法隆寺(あれですね聖徳太子の寺)が一番最初なのではないか、という内容や、持統天皇の時代の藤原京で大規模に作られたよ、などということに関してはむしろもともと読みたいところだったのですごくありがたかったんですが。
なんというか、ちょっとこう、微妙に内容が継ぎ接ぎだった気はするなぁ。
捉えた渡来人の中に技術工がいたので本来ならば厳罰になるところを人材を利用した、などの話も、ちょっとね、それ自体は面白かったんですが、その後どうなったんだろうとかそっちが気になるよね。
どっちかというとその手の話をするのならば日本に正式に入ってきた瓦博士4人が法隆寺のあとどのように処遇されたのかとか、正直なところ、罪人として捉えた中に技術者がいたとしてもそれほど大した腕だったとも思いにくく、要するに「技術を持った人間がそこまで枯渇していた」という意味に読めるのですがその辺を論じて欲しかったんですよね、結構絞られているんだろうということはなんとなく流れが語られているからわかるものの、どのくらい限られたものだったのかに焦点当ててはくれなかったからなぁ。

てかただ、平安京で庶民に瓦屋根にするようにというお触れが出たらしいものの、どう考えてもそれが妥当な状況にも思えず、なんでまたそんなエキセントリックな命令がなされたのかも気になるなぁ、だって都の施設で使う瓦すら使いまわしだよ?
窯に関しては語られていたものの、職人の状況も知りたかったな。やっぱり。