『日本の美術65 上代の寺院建築』鈴木嘉吉・編

正直なところ「上代」というのがいつか微妙にわかっていなかったんですが(ていうか中世ってのも平安時代院政期からが妥当なのかなひょっとして)、うーん、鎌倉よりも前、と認識していいのかな。
そういや日本刀のほうで「上古刀」って湾刀以前の刀を呼ぶみたいなんですが、これも同じ分類の呼び方だよね。
ていうか私が区分に拘っているのはあれです、上代建築に中尊寺が入るのが釈然としなかったんだよ!! ていうかあれ、寺のシリーズで法隆寺東大寺東寺に続けての4巻目に中尊寺が来るんですよ、でもあの寺って奥州藤原3代の時の寺なんだよ、でも上代が鎌倉以前なら入ってもおかしくはないんだな! みたいに自分を捻じ伏せています。
それこそ奥州藤原氏は源氏の兄弟喧嘩に巻き込まれて鎌倉時代になる前に終わってるからなそれはもう教科書で読んだのよ、わかっているのよ…。
ただなんか奥州藤原氏に古いイメージがないんだよなぁ、東大寺とか東寺と並ぶのが違和感というところまではまあ無理もないんだけど(実際だいぶ時代下るし)。

いやうん、そこじゃないよ重要なのはそこじゃないよ、垂木ってのがこう、なんか湾曲した木材なんですがこれがめっちゃたくさん使用されているのに「もっと大きな木材から削り出す」という作り方だとされているのが前から気になっているものの、中国では木材が潤沢ではないから丸垂木が主だったんだよね、と言われるとますますわからない。
そこでもないですね、この本では大陸の建築技術の流れの中に上代建築を置いているので、日本人好みに集約されていったんではないのかなー、という論点。
ところどころにあるイレギュラーも大陸に元技術があるしね、と言われると納得。