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「地図で読む東京大空襲-両国生まれの実体験をもとに」菊地正浩

わりと最近語られるようになった東京大空襲の側面として、どうもアメリカ側は関東大震災の被害地図を元に無差別攻撃の目標地域を決めていたのではないか、ということを思い出しながら読むことになったんですが、この著者さんのお母さんやお爺さんの世代だと完全に関東大震災の経験者なんですよね。
その時に家具が焼けたとかの話や、その時にどこに逃げたと聞いたとかとか、そういうことがぽつぽつと記憶の中に混ざってくるのがちょっと新鮮だったんですが。
そもそも両国っていうとあれですね、かつて江戸時代に空前の被害となった「明暦の大火」の時に両国橋に詰め掛けた群衆が燃え死んだという土地で、関東大震災では陸軍被服廠跡地に持ち込まれた家具が焼け、やっぱり最大の死者数が出来たって土地で。
東京大空襲でも被害は全く免れようはなかったでしょうね。
9万人の死者を数え、8月10日ののち翌日の生存者は千人と言われていて、正直どこに行ってもしばらくよく生きていたね、としか言われなかったとのことですし。
明暦の大火での慰霊を行ったのが回向院で、被服廠跡も関東大震災の関係でなんか慰霊碑あったんじゃないかな。個人的に少し好きな解釈なんですが、東京大空襲の慰霊碑は両国にある江戸東京博物館こそ相応しいんじゃないかって言われてる、なんというか、因縁の土地って言ったら失礼かしら。

正直、地図は比較的この手の本では見慣れているものが多く、地図と本文との内容もそれほどリンクしておらず、著者さんは原爆の落ちた長崎、広島と比べて語られない、とは言っておられたものの、東京大空襲自体はむしろわりと聞くほうですし。
そこまで目新しい内容でもないんですが、時間の流れはわかりやすかったかな。