「エアライン敗戦-格安航空来襲とJAL破綻」杉浦一機

本は2010年の刊行なのでJALの経営破綻、あの時はなんだったっけかな(これ書いてる2015年1月現在にスカイマーク民事再生申請です)、どういう事情なのかをよく把握してなかったんですが、高コスト体質なところでリストラが遅れ、2008年の金融危機でトドメを刺されたようなのでなにがどう悪いって話でもないのか。
内部であまりいいイメージがなかった、というのは正直個人的には経営状態の悪化がもたらしたことだと思ってるので、まあそれが破綻のスピードを速めたんだとしてもね。

 

があくまでその辺はこの当時の背景として書かれていただけで、この本の主題は結構古くから始まっている「オープンスカイ構想」。あんまり詳しいことは知らなかったんですが、なーんだアメリカの航空支配のための布石だったんじゃんこれ。
いや、あちらさんはその辺のこと特に隠したりしないので、対韓国間の話が一番すかっとしたんですが、ほぼ自国有利に持ち込めたのにいわゆるアジア型の安値軽サービス型LCCのチェジュ航空に見事なまでに返り討ちにされてるなww
まあ初期はアメリカの国力を背景にした強力な支配が進んだものの、結果的に本当に世界の空の体制の進化をもたらし、日本が完全に拒絶している間に実際に自由化の象徴となっていた、というような次第です。昔の日本が国力からしり込みしたのも別に悪くないね?
新書ながら世界の航空業界の潮流のようなものがざくっと大掴みに出来たのでちょっと今後読んでいくのに助かるかも、もともと私は日本のLCC登場以降に興味があって、それ以前の潮流も知りたいとは思っていたんですがこのくらい手軽にまとまってるといいなぁ。
世界のLCCはやっぱり大手の航空支配の中からほとんど博打みたいに生まれてきたのか、その失敗と反省の歴史なども語られていまして、やっぱり危ない時期もあったのね。